オーストラリア生活で生まれる心の疲れと、日本人が抱えやすい戸惑い
- Junko Fukuhara

- May 17
- 6 min read
オーストラリアでの新しい生活。それはきっと、たくさんの期待と希望に満ちたスタートだったことでしょう。開放的でリラックスした雰囲気は、日本の暮らしとはまた違う魅力がありますよね。その一方で、思うようにいかないことへのストレスや孤独を感じ、悩んだり、落ち込んでしまうこともあると思います。それは「海外生活」という大きな環境の変化により、自然に起こる心の反応です。

もしかしたら、その心のサインは「適応障害」かもしれません。
「適応障害」って、どんな状態?
適応障害とは、ざっくりいうと「人生の大きな変化やストレスがきっかけで、心や体に不調が現れる状態」のことです。例えば、日本からオーストラリアへの移住という大きな出来事は十分それらの引き金になりうると考えられます。病気というより、心が新しい環境に一生懸命”適応”しようとして、一時的にオーバーヒートしている状態です。つまり、あなたが新しい環境に一生懸命馴染もうと頑張っている証拠です。
例えば、こんなサインはありませんか?
理由もなく気分が落ち込んだり、涙もろくなったりする
常に不安や心配事が頭から離れず、心が休まらない
仕事や家事など、やるべきことに集中できない
人と会うのが億劫になり、気づけば一人でいることが増えた
なかなか寝付けなかったり、食欲がなくなったりする
以前よりイライラしやすくなったと感じる
こうした状態は、単なる”ホームシック”という言葉だけでは片付けられないかもしれません。お仕事のパフォーマンスや、大事な方との関係性、そして「ここメルボルンで楽しく暮らしたい」という気持ちそのものに影響を与えてしまうこともあります。
なぜ、これほどまでに心が疲れてしまうのでしょう?
日本とオーストラリアの文化には、それぞれ素晴らしい点があります。しかし、その違いが知らず知らずのうちに心の負担になることもあります。
その一つが、コミュニケーションの取り方の違いです。社会の中で求められるコミュニケーションのスタイルや、問題が起こったときの向き合い方・解決の仕方は、日本とオーストラリアで大きく異なります。
ここでは、そうしたコミュニケーションの違いに焦点を当てながら、なぜそれが心の疲れにつながるのかを考えてみたいと思います。
日本では、「空気を読む」ことや周りとの調和が大切にされ、自分の意見を直接的に表現するよりも、相手を思いやる柔らかいコミュニケーションが好まれます。また、何か問題が起きたとき、「なぜそうなったのか」という原因や責任の在処をじっくり考える傾向があります。
一方、オーストラリアでは、より個人が尊重され、自分の考えをストレートに伝えることが一般的です。問題が起きたら「じゃあ、どうすれば解決できる?」と、すぐに解決策へ向かおうとします。オーストラリア人の「No Worries!」という明るさが、時には「自分の悩みを軽く扱われた」と感じさせてしまうこともありますよね。このような文化の違いが、違和感や孤独を感じる原因になっているかもしれません。
コミュニケーションの壁: オーストラリアのフレンドリーで直接的な話し方に、戸惑ったり、時には「失礼だ」と感じてしまったりすることもあるかもしれません。「日本では当たり前の気遣いが通じない…」と、理解されていないような気持ちになることも。
社会での振る舞い: 謙虚さや控えめな態度が美徳とされる日本とは違い、ここでは社交的で自分の意見をはっきり言うことが求められる場面が多くあります。その期待に応えようと頑張りすぎて、精神的にヘトヘトになってしまうのです。
こうした文化的なギャップに加え、慣れ親しんだ友人や家族と離れて暮らす寂しさ、異なった社会のルールへの戸惑いなどが重なり、心のバランスが崩れやすくなってしまうのです。
今日からできる、心を落ち着かせるための第一歩:「5-4-3-2-1」グラウンディング
不安な気持ちでいっぱいになってしまった時、それはあなたの心が未来や過去に行ってしまっているサインです。そんな時はあなたの体、特に五感に集中し意識を「今、ここ」に戻してあげましょう。この方法は、いつでもどこでも、無料でしかも誰にも気づかれずにできます。
ぜひ、今この場で試してみてください。深呼吸を一度してから始めましょう。
5: まずは、あなたの周りにある「目に見えるもの」を5つ、探してみましょう。 (例:「パソコン、緑の観葉植物、窓、自分の手、水の入ったコップ」)
4: 次に、あなたの「肌で感じているもの」を4つ、意識してみましょう。 (例:「椅子の座り心地、床についている足の裏の感覚、服の肌触り)
3: 今度は、「耳に聞こえる音」を3つ、集中して探してみましょう。 (例:「冷蔵庫の小さな音、遠くで聞こえる車の音、自分の呼吸の音」)
2: そして、「今感じられる匂い」を2つ、感じてみましょう。 (例:「淹れたてのコーヒーの香り、雨の匂い」)
1: 最後に、「口の中にある味」を1つ、味わってみましょう。 (例:「飲んだお茶の味、歯磨き粉の味」)
これは五感を使うことで、ぐるぐると巡る思考から意識をそっと引き離し、「今」という安心できる場所へ心を連れ戻してくれます。
専門家によるカウンセリングで、できること
カウンセリングは、誰にも気兼ねすることなく、安心してご自身の気持ちを話せる場所です。心理士や専門のカウンセラーは、あなたと一緒に次のようなことに取り組みます。
あなたの経験に寄り添います: 文化の狭間で感じる戸惑いやストレスは、想定内であると頭で分かっていても、気持ちが落ち込むのは自然なことです。そのお気持ちを専門家としてしっかりと受け止めます。
心を楽にする方法を学びましょう: 不安や気分の落ち込みといった辛い感情と上手に付き合っていくための、具体的で実践的なスキルを身につけます。
文化の架け橋: 日本とオーストラリアのコミュニケーションや文化の違いを整理し、日々のストレスを軽くしていくお手伝いをします。
考え方のバランスをみつけましょう: 「なぜ」という原因探しに囚われてしまう状態から、あなたの気持ちを尊重しつつ、「どうすれば楽になるか」という解決策に目を向けるお手伝いをします。
自分への自信を取り戻しましょう: あなたが本来持っている強みや素晴らしさを再発見し、日本人としての価値観を大切にしながら、オーストラリアでの新しい自分を築いていくサポートをします。
この大変な道のりを、一人で抱え込む必要はありません。助けを求めることは弱さではなく、あなたの賢さと勇気の表れです。
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